いものびと講座 2-3 ダクタイル4(押湯) www.asaichuzo.com

前ページの引け巣をなくすため,押湯という方法で2次収縮による体積変化の補償をしています。
押湯というのは,製品以外の部分を余分にくっつけておいて, 製品内の体積膨張による隙間を埋めてしまおう、という方法です。
この方法も製造現場においては理論が確立しているわけではなく,経験の部分が多いのが現状でしょう。

一般にダクタイル鋳物を製造する場合には、かなり大きな押湯を必要とします。

そうすると当然余分に材料などの資材が必要であり、仕上げ作業も大変になり多くの無駄が出ます。

手間や無駄により製造上採算割れしてしまううえ、またエネルギーなどの資源の無駄になり環境にも負担がかかるということにつながります。

 

そこで逆に膨張をうまく制御して押湯なしで製品を作る「無押湯方案」もよく利用されます。

先ほどの膨張と冷却による収縮のバランスをとることにより欠陥のない鋳物ができます。

しかし特にダクタイル鋳鉄に関しては,体積変化の度合いがねずみ鋳鉄に比べて大きく, その制御には多くの技術者が頭を悩ませています。
その理由として、ねずみ鋳鉄とダクタイル鋳鉄の凝固形態の違いが挙げられます。

普通のねずみ鋳鉄の場合,主として,まず鋳型の接触面に表皮が形成され, その後凝固が徐々に内部に進行してゆく表皮型凝固をします。  

表皮型凝固に対し,ダクタイル鋳鉄の場合には,表皮が形成するのは同様なのですが, その後は溶けている液体の大部分が固相線温度に達したときに, 鋳物全体が凝固するマッシー型と呼ばれる凝固をします。
そのため,従来のねずみ鋳鉄の凝固パターンが使用できないうえに, ダクタイル鋳鉄の凝固形態の方がより複雑なため,その解析も困難であるので, より高度な技術が必要となってしまうのです。

近年、技術者の不足が指摘されています。このままでは良い鋳物が製造できなくなる可能性があります。業界にとって経験の豊富な職人は大切です。
現在は凝固解析などのコンピューター解析が発達してきており、その技術もずいぶんと進んできました。

これほどすばらしい技術を絶やさないようにさらに努力していかなければいけません。

 

ここまでいろいろとご説明してきましたが,いかがだったでしょうか?
書いている自分自身わからないことが多いため,わかりにくいところ,誤りもあると思います。
よろしければご意見,ご感想をお送りください。
今後の参考にさせていただきたいと思います。                (終わり)

いもの?もくじへ