いものびと講座 2-3 ダクタイル3(凝固) www.asaichuzo.com

普通,どのような合金においても冷却に際しては,液体収縮と凝固時の収縮を伴います。
そして,どのような合金でも収縮度合いについて,固有の値を持っています。
しかし,ねずみ鋳鉄・ダクタイル鋳鉄においては,これが当てはまりません。
つまり,ある時期に膨張が起こるだけでなく,体積変化の様相も一定ではないのです。
その理由の一つはは,液体化している鉄と,黒鉛の密度差に起因しているといわれます。

 

凝固時にはまず黒鉛が晶出し,その後鉄が凝固するのですが, 鉄には約3%の凝固収縮がありますので,黒鉛の体積分と差し引くと, 結局,計算上は3%弱ほど体積が大きくなります。
しかし,実際の研究報告では3%から6%程度の体積増加がおこることが報告されていて, 密度差だけでは説明できないようです。
どうして体積膨張がおこることが問題になるかというと,そこで不良品ができてしまうからです。
といっても,体積が大きくなるから不良品である,というわけではありません。
それに起因して鋳造品の内部に"引け巣"と呼ばれる,空洞部分ができてしまうのです。
場合によっては,製品の表面がへこんでしまう場合もあります。